「あぁあー! おい今、鼻で笑ったよな⁉ おいぃーー!」

「笑ってねえよ!」

「笑うわけねえよ、大空が‼」

「それもそうだなー! いいやつだもんなー!」

「意見変えんのはやーっ!」



 そうやって3人でけらけら笑っていると、自転車を走らせる音がした。

 シャ——ッ......。

 それはだんだんと近づいてきて、俺らに迫る。

 俺らが自転車のほうへ顔を向けると、あるものがうつった。

 ......母親⁉

 母親が自転車に乗って、こっちへ突っ込んでくる。

 雪が地面で固まって、(すべ)りやすくなっていた。

 とっさにステップで当たらないように避ける。

 俺ら3人にかかれば、こんくらいお手の物。朝飯前。

 さーも、望も当たらないように避けていた。

 このまま、曲がらないはず......——。

 そう思っていると、ギャリっと音がした。

 曲がってる。

 それを見て、最初に思ったことがそれだった。

 まっすぐにいってくれれば、当たらなかった。

 なのに、なんでこっちに来てるんだよ⁉

 まがってくんなよ‼

 はっとした。

 このままだと、当たるのは——っ。



「望ッ‼」