「やめろ! な⁉ やめてくれええええ‼」


 ...と、うさんの声......?

 そのすぐ後に、

 ——ザシュッ。

 そんな音が(ひび)いて、父さんの声がやんだ。

 そうっとリビングに行き、リビングを見てみると............。



「かあ............さん...............?」



 そこには、母さんが立っていた。

 包丁を持って。
                              
 母さんの持っている包丁から、真っ赤な液体がぽたりぽたり、と(したた)(おち)る。



「なに、やってんの..................?」



 母さんは笑った。

 ..................俺らを、見て。

 父さんが床に倒れているのに。胸から、頭から、肩から、血を流しているのに。右足があらぬ方向へと曲がっているのに。ただ真っ赤な液体を流したまま、ピクリとも動かない......のに。

 母さんは笑っていた。

 ..................え。



「大空、翼皐。母さんが、守るからね——......」