なんだよ?

 悪いこと言ったのそっちだろ‼

 俺らの禁句。

 ............それは“家族”。

 家族なんて、大嫌いだ。
 
 『ま、言わなくてもいいんだけど............だれか死んじゃったの? 家族?』

 その言葉は、俺らの思い出したくさえない記憶を呼び戻した。

         ◆

 仲のいい家族。

 普通の、どこにでもいるような家族。

 俺らは、そんな家族のもとで生まれた。

 一卵性の双子。

 とてもそっくり。

 まるで一人の人間が二人になったみたい。

 一心同体。

 俺らは、周りからもそうだった。

 ある日、ある冬の夜。

 二人で家に帰ったんだ。

 雪が降っていて、とても寒くて、でも............とてもきれいな夜だった。

 家に入って、玄関で(くつ)()いで。

 手を洗って、そして......。

 今日のおやつは何かな。そんなことを二人で話していた。

 リビングに行ったら、叫び声が聞こえたんだ。

 

「うわああぁぁぁあ‼」



 何だ......?

 俺らは恐ろしくなりながらも、そろそろと足を動かした。

 リビングに、向かって............。