「ま、言わなくてもいいんだけど............だれか死んじゃったの? 家族?」



 死んだ?

 俺らの家族が?

 あいつらが?

 俺らが(もっと)も嫌っていて、憎んでいて、殺したくて、死んでほしいって思えるあいつらが?

 そんなに家族思いのやつらに見えるか?

 あいつらなんて......。



「「は?」」



 自分が思っていたよりも低い声が出る。

 俺は、奇打をにらみつけた。

 ......いや、俺らは。

 さーも怒っているのが、イラついてムカついているのが、こいつに......奇打に失望しているのが、分かった。

 俺らを初めて見分けられた人がそんな奴とか、とてつもなく嫌だった。

 それはさーも一緒らしい。



「......あ? 家族?」

「......は? 家族?」

 

 殺気(さっき)(おさ)えられず、殺気が空き教室中に広がる。

 なのに、平然と立っている奇打。

 奇打は、殺気を隠さない俺らに(まゆ)を下げて悲しそうな顔をした。