「大空、翼皐っ」



 俺たちを初めて名前で呼んだこいつは、またふわり、と笑いかけた。



「心空......」



 奇打を見る陽詩。

 奇打は俺らと陽詩を見て、安心したように笑ってこう言った。



「よかったあ、名前で呼びたかったんだ。陽詩とも、大空とも翼皐とも、その......」



 そう言いよどむ奇打 心空。

 ......なんだ............。

 顔を真っ赤にして、奇打は覚悟を決めたかのように口を開く。



「な、仲良く、なりたい、から......」



 奇打の放ったその言葉に、俺ら3人は顔を見合わせた。

 仲良くなりたいなんて、そんなの......。

 俺らは、奇打を見つめてうなずいた。



「「「......心空」」」


 
 言い始めがかぶってしまって、誰にも見られないように小さく笑う。

 やべーな、俺。

 こんなキャラじゃないのに..................。



「よろしくね」

「よろしく」

「仲良くしてくれ」



 俺らは、何でもないのに4人で笑いあった。