「............はっ」



 そんな、みんなとは違う人の声が聞こえたきがした。

 振り返ってみてみるけど、誰もいない。

 ..................気のせいかな?

 視線を感じた気がしたけど、それも気のせいか、風に流されるように、消えた。

 

「............?」



 ......何...?



「心空~‼ 何やってんの~!」



 来夢の明るい声に、はっと我に返る。



「ごめん、なんでもなーいっ!」



 そう言いながらも、もう一度後ろを振り返る。

 そこにはやっぱり何もなく、誰もいなかった。



「もおー! 何やってんのさー!」

「ごめんってー。なんか人がいたような気がしてさー......」



 両手を合わせて来夢に謝る。

 来夢は、誰にも気づかれないくらいにちょっと顔色を変えた。

 私の耳の近くに顔を寄せてくる。



「......それ、だいじょーぶなの。元殺し屋がそんなことに気づくってことは......」

「.........ううん、勘違いだったみたい。ほかの人の気配取っちゃったんだと思うんだ——」



 私はそう笑って軽くごまかした。

 言えない。もしかして、

 もしかして——......

 あの気配が、勘違いじゃなくて、“アイツ”かもしれないって——。