「いや、いい」

「いいや、するから」

「いやいや、いいんだって」

「ダメだって」

「いいんだってば」

「ダメだって言ってるでしょ?」

「いいって言ってんだろ」

「却下。行くよ。やったの私だし」



 なんとか言いつのれば、琉宇が折れた。

 ため息をつき、しぶしぶついてくる。

 でもすぐどっか行っちゃいそうだから、私は歩いてる途中、じーっと見つめて監視。

 ......っていうか、琉宇ってこんなキャラだった?


 保健室。

 がらりと扉を引くと、誰もいなかった。

 ......勝手に借りちゃって、いいかな。

 申し訳ない気持ちのまま、棚や引き出しをあさる。

 その間、間にちらっと琉宇を見て、監視。

 じゃないと、すぐ逃げちゃいそうだから。



「なぁ、なんで、............」



 そう、琉宇が何かを言いかける。

 でも、それ以上先は言わなかった。

 だから、私も何も言わない。



「あっ、あったー......」



 消毒液としっぷを見つけ、思わず声を上げる。

 ティッシュペーパーに消毒液をしみこませて、琉宇の頬にあてる。

 ぽん、ぽん、ぽん、とやさしく琉宇の頬にあてた。

 消毒液が染みたのか、



「......っう」



 琉宇がそんな声を上げた。