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 以降、俺はエルビナの公務に同行することが増えた。

 民と触れ合うエルビナは、殊更美しく神々しい。誰とでも気さくに接し、どんなに汚れ垢に塗れた手でも躊躇いなく握り、献身的に働くその姿に俺は大きな感銘を受けた。



 これまで俺は、日中の殆どを城で過ごし、実際に民の姿を見ることなく過ごしてきた。それが王族の公務の在り方だと思っていた。

 けれど、人伝に聞くのと、実際に見るのとでは全然違う。自分では熱心に公務をこなしてきたつもりだったが、てんでダメだ。





「けれど、ジェイデン様はそうやって変わろうとなさいますもの」





 俺の気持ちを察したのだろう。エルビナはそんな風に慰めてくれる。





「あなたはとても素晴らしい人。どうか自信をお持ちになって?」





 何故だろう。エルビナに言われると、大丈夫な気がしてくる。

 ありがとうと口にして、俺はそっと微笑んだ。