「そうだね」
そう言うと、神楽さんは愉快な表情のまま、再び私の横に座りなおす。
はぁー、もうなんなの。ドキドキが治まらない。
「そろそろ到着します」
運転手が前方を見ながら静かに告げた。
到着するってホテル??!
私はチラッと窓の外に目を向けた。
ここって、確か最近できたイタリアの高級ホテル、ランウェイホテルじゃない?
青空に向かって伸びたキラキラしたそのホテルは他のビルと比べて群を抜いてその存在を放っている。
シングルですら宿泊費は十万以上、スイートルーム並みの広さを誇るセレブな空間で、一般人が泊まれるようなホテルじゃないっていう噂でもちきりだった。
まさか、このホテルで?私と??
さすが神楽財閥……とか言ってる場合じゃないよね?
どうなっちゃうの、私?
そんなことを考えている間にホテルのゴージャスな玄関前に車は停車した。
後部座席の扉がゆっくりと開くと、外にはホテルのドアマンらしき佇まいの人が頭を下げて私が出てくるのを待ち構えている。
車を降りると、先に降りていた彼が優しく笑って「さぁ、こちらへ来て」と言った。
そして、渋々傍に来た私の手を取ると、自分の腕に絡ませる。
「な?」
「これから俺のランチ、いや試食会に付き合ってもらうよ。エスコートさせてもらえる?」
あまりに色んな刺激が重なり頭がついていかない。試食会?
抗う力も失せてしまった私は彼のエスコートを受けたままホテルの中に入って行った。
「このホテルの最上階に俺がプロデュースするフレンチレストランがもうすぐオープンするんだ」
そういえば、美咲が神楽さんが手掛けるレストランは皆一流になるとか言ってたことを思い出す。
「今日はオープン初日に予定されているコースを試食する。初日の味が全てを決めるといっても過言ではないからね」
「あの、私も試食するってことですか?」
「そのつもりだけど」
「そのつもりって私はそのつもりはないんですけれど」
「このレストランの主なターゲットは君みたいな若い女性。是非樹ちゃんの率直な感想も聞かせてもらいたいんだ」
「どうして私なんですか?いきなりそんなこと言われても困ります」
彼は私を一瞥すると、くすっと笑う。
「樹ちゃんが目の前にいたからさ」
「目の前にいたって、たまたまじゃないですか?もし、私以外の女性がいたらその人を連れていくんですか?」
「それはしない」
彼はそう言うと、開いたエレベーターに私と共に乗った。
それはしない……だって。
気持ちが高揚しすぎてどうにかなりそうだ。
下唇をきゅっと噛んで、正常心を保つのに必死だった。
そんな気持ちの私のことなんかお構いなしに、エレベーターはものすごい速さでホテルの最上階にたどり着く。
そう言うと、神楽さんは愉快な表情のまま、再び私の横に座りなおす。
はぁー、もうなんなの。ドキドキが治まらない。
「そろそろ到着します」
運転手が前方を見ながら静かに告げた。
到着するってホテル??!
私はチラッと窓の外に目を向けた。
ここって、確か最近できたイタリアの高級ホテル、ランウェイホテルじゃない?
青空に向かって伸びたキラキラしたそのホテルは他のビルと比べて群を抜いてその存在を放っている。
シングルですら宿泊費は十万以上、スイートルーム並みの広さを誇るセレブな空間で、一般人が泊まれるようなホテルじゃないっていう噂でもちきりだった。
まさか、このホテルで?私と??
さすが神楽財閥……とか言ってる場合じゃないよね?
どうなっちゃうの、私?
そんなことを考えている間にホテルのゴージャスな玄関前に車は停車した。
後部座席の扉がゆっくりと開くと、外にはホテルのドアマンらしき佇まいの人が頭を下げて私が出てくるのを待ち構えている。
車を降りると、先に降りていた彼が優しく笑って「さぁ、こちらへ来て」と言った。
そして、渋々傍に来た私の手を取ると、自分の腕に絡ませる。
「な?」
「これから俺のランチ、いや試食会に付き合ってもらうよ。エスコートさせてもらえる?」
あまりに色んな刺激が重なり頭がついていかない。試食会?
抗う力も失せてしまった私は彼のエスコートを受けたままホテルの中に入って行った。
「このホテルの最上階に俺がプロデュースするフレンチレストランがもうすぐオープンするんだ」
そういえば、美咲が神楽さんが手掛けるレストランは皆一流になるとか言ってたことを思い出す。
「今日はオープン初日に予定されているコースを試食する。初日の味が全てを決めるといっても過言ではないからね」
「あの、私も試食するってことですか?」
「そのつもりだけど」
「そのつもりって私はそのつもりはないんですけれど」
「このレストランの主なターゲットは君みたいな若い女性。是非樹ちゃんの率直な感想も聞かせてもらいたいんだ」
「どうして私なんですか?いきなりそんなこと言われても困ります」
彼は私を一瞥すると、くすっと笑う。
「樹ちゃんが目の前にいたからさ」
「目の前にいたって、たまたまじゃないですか?もし、私以外の女性がいたらその人を連れていくんですか?」
「それはしない」
彼はそう言うと、開いたエレベーターに私と共に乗った。
それはしない……だって。
気持ちが高揚しすぎてどうにかなりそうだ。
下唇をきゅっと噛んで、正常心を保つのに必死だった。
そんな気持ちの私のことなんかお構いなしに、エレベーターはものすごい速さでホテルの最上階にたどり着く。