カメラが切り替わった時には、AOの二人はすでに歌のセットの中にいた。



真っ白なのセットの中で、同じく真っ白な羽根がフワフワと頭上から舞い落ちる。



慈雨は「綺麗…」と画面に食い入った。


まるで、二人が天国にいるような不思議な光景で、神々しささえ感じられた。



「共に手を取り歩んできた月日」

「決して平坦ではなかった道のり」

「隣で笑う君の姿に励まされた」


五年間のAOの軌跡を思い出させるような歌詞が、そこここに散りばめられている。


真広の声はどこまでも柔らかく、優しくて。


尚の声はどこまでも男らしく、力強くて。


変なの。

見た目も性格も声の質も正反対の二人なのに、二つの声が一つに重なると、美しいハーモニーに生まれ変わる。


そっか。
もう五年…そんなに経つのか…


慈雨は彼らのデビューを知った時の衝撃と、デビューからの五年の歩みを思い出し、胸を熱くさせていた。