「まだ作った小物の確認もしてもらってないのに、いきなりショーだなんて⋯⋯いいの?」

【取り敢えず、本場に向けたデモンストレーション的な感じだよ。どんな感触か確かめたいってことらしい。それで、最終的なプランを立てることになった】

「そう⋯⋯」

【────で、あかりはモデル。透吾さんも今回だけモデル頼まれた。俺は制作スタッフに加わるけど、絆利もそうしてもらえる?】

 この居心地悪さから開放されるなら、今はどんなことでもするよと返事をする。仲間の元に戻れるのならば、それ以上に喜ばしいことはなかった。

 デザイナーが集まり次第リハーサル始めるということで、私は今いるスタジオからホテルへの移動を促されることとなった。

 とにかく皆と合流できるなら一安心。友達も知人も全くいない仕事場で冷たい視線を浴びながらたった一人というのは、こんな性格の私でもさすがに堪えていた。