言う彼の背後では建設現場のような音が響いている。インパクトドライバーやネイルガンのような、今まさに何かを建設中とその騒音が物語っていた。

【誰もが誰かに認められたくて必死で、だから仲間を作る。でも、絆利は違う。周りに染まらなくて、自分をしっかり持ってて。だから人一倍苦しんで悲しんで、一人傷ついたままそれを隠す。絆利⋯⋯そう言う嘘上手だからね。そういうの、俺はやめて欲しいって思った】

「伊織、私は────」

【答えを⋯⋯っていうか、返事を期待してるんじゃない。俺に対してその気がないのは分かってるから。求めてない。だから……だったら始めたらいいって思ったんだ】

「始めるって⋯⋯何を?」

【絆利に少しでも気にかけてもらえる男になる、って】

「そんなことしなくても、充分目立ってるよ」

【好きな人に気づいて貰えないんじゃ、意味なくない? それに高村さんカッコイイから、俺も本気出さないと勝てないなって】

「そんな大層なヤツじゃないよ、あの人も」

【そういう、俺の知らない二人の世界があるのが余計にムカつく】

「ガキ」