「元がクールだから何考えてんのか分かんないのはいつもの事だけど⋯⋯彼女といるとあの(●●)あどけない笑顔になるのよね。私には憎たらしいほくそ笑んだ顔しか見せてくれないくせに」

「ヤキモチかよ」

「そんなんじゃ────⋯⋯そうなのかな?」

 まさか『友達』だと思っていた女に先を越されるなんて、在り来りなはなしだが、何の魅力もない自分が可愛い彼女に勝てるはずもなくて。

「それを分かってて、あたって砕けるなんてごめんだわ!」

「そんなもんやってみないと分かんないじゃない」

「何の根拠があって言ってんの? ホント無責任なんだから」

「好きなクセに」

「うっさい!」

「私はあんたの方が『イイ女』だと思うけどな」

「それこそ根拠のない褒め言葉をどーも。気休めくらいにはなったよ」

大きくため息をつき、すっかり冷めたコーヒーをちびちびと啜る。