視界に入るのは、無機質な白い天井だけ。気を抜いたところで思い出したように感じる空腹感に、今日は朝食を取ったきり、その後は何も食べていなかったと身を起こす。その時、廊下から「絆利さん」と名を呼ぶ冷めた女の声が聞こえ、「はい?」と返すこちらも素っ気ない反応に。お互いに決して歩み寄ろうとはしない私たちの関係は、初対面からほとんど変わってはいなかった。
「伊織が、下に降りて来てって」とこちらの返事を待つこともなく遠ざかる足音に、いつものことだと立ち上がり部屋を出る。階段を降りて行けば、食欲を誘ういい香りが階下に広がっていた。
誘われるようキッチンを覗けば、意外と料理上手な透吾がそこで思う存分腕を奮っている。準備ができたとビール片手に腰掛けるテーブルに、早くも座る席が固定されているのに気がついた。「下戸にはノンアル」と隣から差し出されるチューハイは、透吾の手から私に。伊織の隣でクールに構えるあかりに、まだ未練があるらしいとまで噂されていた今朝のこと。耳にしたその話はあながち間違いではなかったようだと、彼女を一瞥し目を伏せた。
食卓に並ぶ美味しそうなご馳走に、空腹が助長され取り敢えず乾杯。それぞれが思い思いに腹を満たしながら、明日の予定について話し合った。
「伊織が、下に降りて来てって」とこちらの返事を待つこともなく遠ざかる足音に、いつものことだと立ち上がり部屋を出る。階段を降りて行けば、食欲を誘ういい香りが階下に広がっていた。
誘われるようキッチンを覗けば、意外と料理上手な透吾がそこで思う存分腕を奮っている。準備ができたとビール片手に腰掛けるテーブルに、早くも座る席が固定されているのに気がついた。「下戸にはノンアル」と隣から差し出されるチューハイは、透吾の手から私に。伊織の隣でクールに構えるあかりに、まだ未練があるらしいとまで噂されていた今朝のこと。耳にしたその話はあながち間違いではなかったようだと、彼女を一瞥し目を伏せた。
食卓に並ぶ美味しそうなご馳走に、空腹が助長され取り敢えず乾杯。それぞれが思い思いに腹を満たしながら、明日の予定について話し合った。