「なんで私があんたに喧嘩売られなきゃなんないのよ! あれは千知が勝手に────」

「あんたが言わせたんでしょ? 彼のお母様の前で、ワザと!!」

「何で私がそんなことしなきゃいけないのよ! こっちだってわけわかんないし、いい迷惑よ!! それに、つまみ細工の件だって私が自分で売り込んだわけじゃないから。勝手に名指しで指名されたの、あなたの『婚約者』さんから。聞かされたのは今日のお昼でした」

「そんなわけないでしょ!? 彼は私に黙ってそんなこと絶対にしないわ!」

「そんなこと私が知るもんですか。なんの前触れもなく振られた話で困惑してるのはこっちよ! しかも私が参加を拒否したらこの企画自体がおジャンになるからって念押しされて。いくらバイトとはいえ会社の損害になることはできないし、私にその責任は取れませんから。私に八つ当たりするのは結構だけど、そんな暇があるんだったら本人は聞けばいいじゃない」

「相変わらず、可愛げのない女ね。そんなんだから千知にも振り向いてもらえないのよ。見た目も性格もイマイチ。あんたみたいな女、友達にしとくのだって恥ずかしいってよくベッドで言ってたわ。久しぶりに会ってつくづく彼の言葉に共感できた。ホント、同じ女として恥ずかしい」