会社で聞かされた通り、私には予め組まれていた打ち合わせがあったのだが、それは先方の都合で後日に延期。どうせ暇だろうと連れてこられたミーティングでも、結局のところ何の役にも立てないままだった。まぁ、当然と言えば当然である。
「では、明日からよろしくお願いします」
そう締め括られ終了したミーティングではあったが、その間に私が口を開くことはただの一度もなかった。
こちらと同様に集合をかけられていたスタッフの人たちとはそのまま門前で別れ、私たちは自分たちのコテージへ帰ることにした。
皆と足並み揃えて踵を返したその時、帰ろうとしていた私の歩みを止める声が聞こえた。
「榊さん、少し伏見さんとお話させて頂いてもよろしいでしょうか?」────と、沙帆が問う。
「この後は特に予定もありませんので、こちらはかまいませんが⋯⋯」
続けて「絆利は大丈夫?」とそっと声をかけて来るあたり、何かを察しているようにも思えた。この子、こんなに感が鋭かったか? と感心しつつ、「大丈夫」と返す。
「では、明日からよろしくお願いします」
そう締め括られ終了したミーティングではあったが、その間に私が口を開くことはただの一度もなかった。
こちらと同様に集合をかけられていたスタッフの人たちとはそのまま門前で別れ、私たちは自分たちのコテージへ帰ることにした。
皆と足並み揃えて踵を返したその時、帰ろうとしていた私の歩みを止める声が聞こえた。
「榊さん、少し伏見さんとお話させて頂いてもよろしいでしょうか?」────と、沙帆が問う。
「この後は特に予定もありませんので、こちらはかまいませんが⋯⋯」
続けて「絆利は大丈夫?」とそっと声をかけて来るあたり、何かを察しているようにも思えた。この子、こんなに感が鋭かったか? と感心しつつ、「大丈夫」と返す。