「豪華コテージとは聞いてたけど⋯⋯」

 呟く言葉はそのままフェードアウト。驚き過ぎて次の文句が出てこない私を補足するよう、「ここまで豪邸だったなんて」と見上げるあかりもさすがにため息を漏らしていた。

 私たちが借りることとなった物件は、このすぐ近くにある例のホテルの貸別荘。政府の要人やセレブなど御用達の、宿泊施設と呼ぶには少々豪華すぎる邸宅だった。

 隣に並ぶ伊織と透吾も「ヒュー」と口笛ひとつ、目の前に広がるオシャレな外観に少し圧倒されている。四人が横並びになり、手にした荷物を確認すると促されるままその門を潜った。

 真っ白な玄関を上がり通されたのは、共同空間となる広いリビング。解放感あるその場所を目で一巡し、取り敢えずは自室となるそれぞれの部屋へと、ホテルの支配人なる人物に案内された。リビング横の階段をぞろぞろと上がり、男女でそれぞれ左右に別れる。左手突き当りの部屋が伊織でその隣が透吾、そして一部屋挟んであかりと右側の突き当りが私の部屋として割り当てられた。