この仕事の明暗が、私の返答にかかっているだなんて。私が一番嫌う『責任』という二文字が、この両肩に重くのしかかっていた。

「拒否という選択はない⋯⋯と?」

「そう! もう引き受けてもらうしかないのよ。悪いけど」

「分かりました」と答えるしか、最初から道は残されていなかったらしい。

「お前が現地に着き次第、打ち合わせを行い制作に入って貰いたい────とのことだった。だから今回は、イベンターというよりは『つまみ細工職人』として仕事を依頼したいんだ」

 今回ばかりは問題だらけ、不安だらけでのスタートとなった。

「まぁ、ここから先のことは、リーダー二人と話し合って決めてくれ」

「丸投げかよ」と愚痴る透吾に、そこまで細かくは現時点では決められないからだと社長は頭をかく。臨機応変に対応してくれと二人に告げ、手にしていた資料をデスクに置いた。

「絆利に至っては仕事が倍になる形になるから、誰よりも大変だろうが頑張って欲しい」

 応援してるからとまで言われては、「はい」と答えるしかない。