それは忘れもしない、初めて言葉を交わした瞬間に悟ったこと。
────彼女とはウマが合わない。
それは予感ではなく確信だった。
程なくしてその理由が明らかになるのだが、それが何とも陳腐でくだらないことから派生したものだと知った時には呆れてものが言えなかった。
少々お節介な性分である伊織と透吾には、いつも色々と助けられてばかり。何かと世話を焼く相手は私だけではないのだが、関わってしまった相手が悪かったようで。彼ら二人に加え、伊織の兄でありこの会社の社長、榊時成にも妙に気に入られ始めた頃から、特別扱いされていると誤解されていたようだ。
以後、あかりは私を「性悪女」として陰で触れ回るようになり、今に至る。とは言え、自身の耳に入ってくる話のほとんどは碧子を含め人伝に聞いた話が大半だった。要するに又聞きの又聞き。
兎にも角にも、それなりに月日は経ち嫌々ながらも共にする時間もそれなりに。けれど私たちの関係性は何一つ変わらぬまま。これから先も決して、良い方向に変化することはないのだろう。
「待たせてごめんな!」
そう飛び込んできた社長相手に、「遅せぇよ」と文句を言う透吾に伊織も軽く頷いている。無言でスマホを弄っていたあかりも、彼の登場にやっとのことでそれを置いた。
────彼女とはウマが合わない。
それは予感ではなく確信だった。
程なくしてその理由が明らかになるのだが、それが何とも陳腐でくだらないことから派生したものだと知った時には呆れてものが言えなかった。
少々お節介な性分である伊織と透吾には、いつも色々と助けられてばかり。何かと世話を焼く相手は私だけではないのだが、関わってしまった相手が悪かったようで。彼ら二人に加え、伊織の兄でありこの会社の社長、榊時成にも妙に気に入られ始めた頃から、特別扱いされていると誤解されていたようだ。
以後、あかりは私を「性悪女」として陰で触れ回るようになり、今に至る。とは言え、自身の耳に入ってくる話のほとんどは碧子を含め人伝に聞いた話が大半だった。要するに又聞きの又聞き。
兎にも角にも、それなりに月日は経ち嫌々ながらも共にする時間もそれなりに。けれど私たちの関係性は何一つ変わらぬまま。これから先も決して、良い方向に変化することはないのだろう。
「待たせてごめんな!」
そう飛び込んできた社長相手に、「遅せぇよ」と文句を言う透吾に伊織も軽く頷いている。無言でスマホを弄っていたあかりも、彼の登場にやっとのことでそれを置いた。