男の子を2人がけのソファーに寝かせるけど、背が高く、足がソファーからはみ出てしまっている


「あっ、」


足を踏んだ事を思い出し、ズボンをゆっくりと捲ると、赤くなっている所を見つけた



手当をしようとしゃがむと


「いっ…」


痛みを感じて自分の膝を見る



男の子の事に夢中になっていて、転んだことさえ忘れていた




男の子と自分の手当をし、一安心するとお腹の音がなる



もうすぐ夜の10時だ



男の子に顔を向けると、気持ちよさそうに眠っている



今になって、どうしてあんな所にいたのか、何か事情があるのでは無いかと不安な考えが頭をよぎる



この男の子もお腹が空いているみたいだったから、とりあえずビーフシチューを2人分用意する



明日の朝ごはんにする予定だったけど、仕方ないよね



「あの、起きてください」


肩を揺すると、目を擦りながら欠伸をする男の子



「お姉さん、、だれ?」



「ごめんなさい、、私が気づかなくて、あなたの足を踏んでしまったの」



「あー、」


そんな事あったな。とでも言いたそうな顔をする



「これ、2人分…俺も食べていーの?」


男の子は私の話よりも、目の前に置かれているビーフシチューに釘付けだ



「うん。お腹すいてそうだったから、どうぞ」


ソファーからおりて、床に座ると手を合わせる



「いただきます」


黙々と食べる男の子



私もスプーンを手に取り、ビーフシチューを1口


「おいしい」


安定の美味しさに頬が緩む



目線を感じて隣を向くと、食べる手を止めて私の方をじーっと見ている男の子



「えーっと…なにか?」



「お姉さん何で俺のこと助けたの?」



「…怪我させちゃったから、、放って置けなくて」



「ふーん」


それだけ言うと、また食べ進める



ご飯を食べ終え、隣に静かに座っている男の子



「あの、もう夜遅いけどお家の方は?」



「俺…ひとり」


下を向いて、犬の耳が垂れたように落ち込んでいるのが分かる



「だから、あんな所にいたの?」



「うーん…でも、お姉さんにこれ以上迷惑かけれないから、俺もう行く…色々とありがとう」


それだけ言うと、玄関へと向かう男の子



泊まる場所もないのに、そのまま返すのは気が引けて、無意識に男の子の服を掴む



「帰る所ないんでしょ?なら、今日は泊まって行ってもいいよ」


そう言うと、驚いた顔をする



「いいの?」



「うん…心配だから」