「花香さんに任せてよかった」


感嘆のため息とともにそう漏らすと、2人もうなずいた。




「どうしようね、MIX」

ゆうやがつぶやいたその一言に、たしかに、と思う。


今までの所謂“歌ってみた”という類いの動画は全部ゆうやがVocal offの音源を使ってMIXしてくれていた。


だけど、今回の曲は一部ボーカルに効果音が被る部分があるから

花香さんにMIXを任せたほうがいいんじゃないか、という思いが心のなかに渦巻いた。



でも、ここまで作ってくれた花香さんにここまでお願いしても良いんだろうか。


「迷惑かもって考えてるならその考え捨てて花香さんにお願いしてもいいと思うけど」

考えを読んだはるがそう言った。


はるならそうするかもしれない…けど。もしほんとに迷惑だったらどうしよう、と考えると頼む勇気がどんどんしぼんでいく。




「DMに依頼するなって書いてあったならまだ、わかるけど」



もう一度念を押すように言ったはるの言葉にハッとした。


なんて、書いてあったか。


[尚、ご質問・MIXの依頼等ありましたら気軽にお申し付けください。]


DMの最後にはこう書かれていた。

…ていうことは、つまり。





「依頼しても、大丈夫そう」

「よし、お願いしよう。ギリギリになっちゃわないように早く音録らないとね」



ゆうやにも背中を押され、早速お願いの旨を書いたDMを作成する。



DMを送り終えると、ゆうやは録音のスタンバイ、はるは発声練習をしていた。