「あの…?」


「ていうか何なら今ライン交換しちゃう?」


「…えーと、」


「QRコードでいい?俺読み取るからさ、オネーサン――」


「あの!!!」




突然の大きな声に驚いたのか、パッと若者がスマホから顔を上げた。


丸っこくて、ダークブラウンの瞳と視線がぶつかる。




「あなた正気ですか!?金融機関の窓口でナンパって何してるんですか!?あんたも子供じゃないんだから物事の分別くらいつけなさい!!!」





……あ、と。



気づいたときには時遅く。




支店中の職員、そしてお客様の視線が私に集中していた。





「……プッ」