――一体何股してるんだ!?この男は!!
翌朝、アパートの部屋を出ると、またタイミングよくガチャッと隣のドアも開いた。
リカちんか!?と思って身を強張らせたけど、なんと出てきたのはリカちんでも、1日目の夜に私を寝不足にしたオネーさんでもなかった。
「じゃあね、クウマ。楽しかったわ。また夫のいない夜に」
「うん、無理しないでねー」
カッカッカッ、とヒールを上品に響かせながら立ち去る40才くらいの女性…
「あ、オネーさん、おはよー」
「朝から危険な香りがしたんですけど…!!」
「えー、そう?めちゃくちゃ平和な朝だけどなあ」
うーん、と朝日の中伸びをするクウマ。なんか猫みたい。
そして、昨日みたいなヨレヨレのパーカーではなく、今日はきちんとしたスーツ姿だった。クウマ…
「…仕事してたんだね」
「あは、そりゃするでしょ仕事くらい。オネーさん俺のことなんだと思ってたの?」
「…ナンパ師?」
「あは、まあ、あながち間違ってないかもー」