「休みだからって一日寝てたらだめだよお?」


「別にいいだろ、昨日の夜全然眠れなかったんだし?」


「もうやだぁ、えっちいー♡」




女の人がポンッと軽くナンパ男の胸を叩く。



ナンパ男はそんな女の人の細い腰をグイッと引き寄せ





「じゃ、また今度ね♡俺の子猫ちゃん」





うげーーーーーーっ





だが吐き気を催したのは私だけのようで、女の人は「うんまたねー♡」と頬を赤く染めて帰っていった。





ほ、ほんとにいるんだ。こんなクサいセリフを吐く男…てっきりドラマとかマンガの中のフィクション上の生き物かと思ってた。





そのままナンパ男も家の中に入るかと思われたのに、クルリと、まるでずっと前から私が見ているのが分かっていたみたいに顔を向けた。



バチッとダークブラウンの瞳と視線がぶつかる。





やばい、と思ったときには時遅く。




「ひっ」




気づいたらキスできそうなほどの至近距離に、極上に整った顔があった。





「何凝視してんのオネーサン、もしかして俺に惚れちゃった?」