「んじゃ、放課後日誌頑張んないとな~あーめんど、アニメイト行こうと思ってたんだけどなぁ~」
「アニメイトより日誌だ」
「でた~非オタ!おかしいでしょ!オタクは推しのグッズしか勝たんのよ!」
オタク………
私はオタクじゃないから分からないけどそういうものなのか。
宍戸や相田の声を聞いているうちに、意識は新しく作りたい新曲へ飛んでいく──

「ウタ?2時限終わったよ?」
うん?寝てたのか?私は一体なにを。
っていうか2時限?約2時間寝てたってことか。
「はあ、ウタやばいよー。放課後進路相談なんだけど何も決まってないんだよね~」
もう高校2年の夏。今から急いでも遅いというのは茉奈も分かっているみたいだ。
「茉奈はどこ行く予定なの?進学?短大?専門学校?もしや就職?」
「いや、一応進学だよー。だけどやりたいことないからさぁ.....」
「え?マジで?」
「うん。夢は小説家だったんだけど.....デビューできなかったらと思うと、ねぇ.....。」
茉奈は苦笑しながら頭を搔いた。
「まぁいいや、次移動教室だから。行こう」
茉奈はさっきとは打って変わって明るい笑顔を浮かべると、私の手を握った。