今回の依頼は依頼者本人の記憶を消すのではなく、依頼者の恋人の記憶を消すというもの。

今回の依頼は直ぐに終わらせる事は難しそうだ。

トントンっ…

「どうぞ」

「こんばんは、記憶屋の風間です」

「わざわざ来て頂いてありがとうございます」

きちんと挨拶の出来る好青年だった。

彼はベッドの上で体を起こしていた。

「随分お若い方が記憶屋をやってるんですね」

「よく言われます。僕と相良さんは、さほど年齢は変わらないと思います」

「そうなんですね。逆に良かったです」

彼は少しだけ緊張から解放されたような顔をしていた。