「終わりました」

「えっ…」

「僕はあなたに依頼されてやって来た記憶屋です。わかりますか?」

「何となく…」

記憶を消した後は大抵こうなる。

記憶と共に、消したい記憶があった事自体がなくなってしまう。

「この木箱に、あなたが消したい記憶を封印してあります。開けられるのは、あなたが結婚をした後です。それまでは開けられません」

「わかりました。それで私は何の記憶を消したんですか?」

「その質問にはお答え出来ません。ただ、僕は消したい記憶を消した事であなたが幸せになれる事を祈っています」