有言実行、母の嫌がらせを止めることを最優先事項とした。

残念ながら、母とはまともな話し合いができそうにないと、かなり早い段階で判断した。

彼女への嫌がらせを止め、大人しく隠居して、この家で残りの人生を過ごす

全てを失い、この家からも放り出され、のたれ死にしたとしても、彼女への嫌がらせを続ける

この二つの選択肢のみ突きつけ、母は渋々前者を選んだ。

母と違い、俺は父の残したものに思い入れがないので、もし母が約束を違えて、再び彼女を攻撃するなら、容赦なく家も会社も売り払うつもりだ。

俺を自身で育てた母は俺がそういう男だと知っているから、多分今後は大人しくしてくれるだろう。

いつの日か母が平静を取り戻せたなら、和解することもあるかもしれないが、少なくともそれは今ではないと感じる。

母は俺にとっては唯一の肉親なのだから、いつかそんな日がくればいいと心から願っている。



本社移転に関しては、少し前からその可能性を視野に入れて動いていたので、あとは実行に移すだけだ。

元々支社を開設するつもりだったので大枠の部分はほぼ整っているし、大きな問題はないだろう。

関西支社は支社長となるじじいに丸投げできたので、思っていたより余裕があるくらいだ。

分室を廃止したことで、母の下で働いていた数人の処遇をどうするか悩んだが、経理部は本社で増設予定だったので、東京に異動する意志がある者だけ雇用を継続すると決めた。

母と似たり寄ったりな年齢層の女性にそこまでの気概があるはずもなく、実質は解雇通知となった。

完全に足枷となっていた分室が消失したことで、社内のあり方も今後変わっていくことだろう。



彼女とのことは、忙しいということもあって、大きな進展はない。

ウッカリ逃げられたりしたら堪らないので、彼女の実家に挨拶に行って結婚の承諾をもらい、正式にプロポーズを済ませ、社内で婚約を発表して、完全に型にはめた。

我ながら信じられないのだが、ここまでしたのに、いまだにキスすらしてないことが最近の悩みである。

完全に機を逃した。

これまでどうやってキスをしてたのかどうしても思い出せないし、彼女とキスする自分が想像できない。

俺はどうしたらいい?どうしたら彼女とキスできる?

結婚式を挙げればいいのか?

教えて!エロい人!