やはり彼女は断るつもりで気持ちを固めているようだ。
意識してくれるのは嬉しいが、俺が視界に入る度に申し訳なさそうな顔をされる。
これでは、既に断られてるのと一緒だ。
だが、申し訳ないと思うってことは嫌いじゃないってことだ。
可能性はゼロではない。
母からの嫌がらせ電話が続いているのが邪魔くさいし、そのせいで俺と彼女の変な噂が出回り始めた。
少しでも彼女からの好感度を上げておきたいのに、この感じだとあまり時間がないだろう。
正攻法で落としたかったのだが、奥の手を使うしかないかもしれない。
確実ではないし、できればこの方法は避けたかったんだが、しょうがない。
とりあえず落としてから、ゆっくり俺のことを好きになってもらおう。
*
俺への返事を社長室で簡単に済ませようとする彼女に、
「昼に時間を作るから、食事を取りながら話を聞く」
と、かろうじてストップをかけた。
本当に危なかった、あっさり終了するところだった。
彼女は話の持っていき方が本当にうまい、営業でも十分通用したことだろう。
これは心してかからなければ、奥の手が通用しない可能性を感じる。
とりあえず、彼女が涙目になる程感動していた蟹味噌パスタの店で、個室の予約を取った。
美味しい料理で脳を揺さぶり、判断能力を下げることができれば、俺が有利になる、、かもしれない。
*
俺の選択は間違っていなかった。
やはりこの店はいい仕事をする。
本日のパスタはフレッシュポルチーニを贅沢に使ったクリームパスタだった。
彼女は運ばれてきたポルチーニの香りにうっとりした後、優しくそれでいて濃厚なクリームソースの素晴らしい味わいに気を失いかけていた。
やるなら今しかない。
「で?この前の話の続きだったよな?」
彼女がパスタを口に運び、悶絶してるのを確認してから話を振った。
想像通り、彼女は断りの言葉を並べ立てた。
「母のことがなければ考え直せるのだろうか、そのつもりがあるならすぐに手を打つから全く問題ない、気にするな」
彼女の断りの言葉を絶妙に無視、問題をすり替えて、なおかつ回答する隙を与えない。
ポルチーニ効果も相まって、彼女は完全に混乱の極みに達している。
ここで、奥の手発動。
「俺はお前のことが好きだと言っている。お前は俺のことが嫌いなのか?」
ここで嫌いと言われたら終了だ。
頼む、深く考えるな、お前は絶対に俺のことを嫌っていないはずだ。
混乱しながらも、彼女が首を振る。
テーブルの下で、俺は拳を握った。
「じゃあ、お前は俺のことが、好きか嫌いかならどっちだ?」
「好き?」
俺は勝負に勝った。
後はゆっくり落ちてくればいい。
意識してくれるのは嬉しいが、俺が視界に入る度に申し訳なさそうな顔をされる。
これでは、既に断られてるのと一緒だ。
だが、申し訳ないと思うってことは嫌いじゃないってことだ。
可能性はゼロではない。
母からの嫌がらせ電話が続いているのが邪魔くさいし、そのせいで俺と彼女の変な噂が出回り始めた。
少しでも彼女からの好感度を上げておきたいのに、この感じだとあまり時間がないだろう。
正攻法で落としたかったのだが、奥の手を使うしかないかもしれない。
確実ではないし、できればこの方法は避けたかったんだが、しょうがない。
とりあえず落としてから、ゆっくり俺のことを好きになってもらおう。
*
俺への返事を社長室で簡単に済ませようとする彼女に、
「昼に時間を作るから、食事を取りながら話を聞く」
と、かろうじてストップをかけた。
本当に危なかった、あっさり終了するところだった。
彼女は話の持っていき方が本当にうまい、営業でも十分通用したことだろう。
これは心してかからなければ、奥の手が通用しない可能性を感じる。
とりあえず、彼女が涙目になる程感動していた蟹味噌パスタの店で、個室の予約を取った。
美味しい料理で脳を揺さぶり、判断能力を下げることができれば、俺が有利になる、、かもしれない。
*
俺の選択は間違っていなかった。
やはりこの店はいい仕事をする。
本日のパスタはフレッシュポルチーニを贅沢に使ったクリームパスタだった。
彼女は運ばれてきたポルチーニの香りにうっとりした後、優しくそれでいて濃厚なクリームソースの素晴らしい味わいに気を失いかけていた。
やるなら今しかない。
「で?この前の話の続きだったよな?」
彼女がパスタを口に運び、悶絶してるのを確認してから話を振った。
想像通り、彼女は断りの言葉を並べ立てた。
「母のことがなければ考え直せるのだろうか、そのつもりがあるならすぐに手を打つから全く問題ない、気にするな」
彼女の断りの言葉を絶妙に無視、問題をすり替えて、なおかつ回答する隙を与えない。
ポルチーニ効果も相まって、彼女は完全に混乱の極みに達している。
ここで、奥の手発動。
「俺はお前のことが好きだと言っている。お前は俺のことが嫌いなのか?」
ここで嫌いと言われたら終了だ。
頼む、深く考えるな、お前は絶対に俺のことを嫌っていないはずだ。
混乱しながらも、彼女が首を振る。
テーブルの下で、俺は拳を握った。
「じゃあ、お前は俺のことが、好きか嫌いかならどっちだ?」
「好き?」
俺は勝負に勝った。
後はゆっくり落ちてくればいい。