考えが甘かったと反省しつつ、目下の問題は、

「とりあえず、お父様の言い分はわかりましたけれど…それで、一体お相手は誰なんです…?」


そう、私の婚約者という相手の男性だ。


もし、私が女公爵になるために適当な相手であればちょっと考えてもいいのかもしれない。

私だって父の気持ちを裏切りたくはないのだ。

「お前の相手は…」


相手は…?


「シェラード公爵家の次男…ロイ・シェラードだ」

その名前を聞いた瞬間、私は思わず顔をしかめてしまう。

「お父様…!シェラード公爵家のロイ様といえば、引き篭もり公爵で有名なあの方ですか!?」

私は信じられない気持ちで、父を見つめる。

ロイ・シェラード。確か、私より1つ年齢は、上のはずだ、公爵家の次男で家柄的には申し分ないのだが…。