そう言って、優しく微笑むお母様は、昔から私のことを応援してくれていて、心強い味方だ。

「そうだな…確かにあの子は優秀だし。メアリーもそう言うなら、フローラの当主の件も少し考えていいかもしれんな」


お母様に言われ、父も私が女当主になることを少しは考えてくれているのだと嬉かったのだが…。

昨年、元々体の弱かった母が亡くなってから父は一変してしまった。


「フローラ…そろそろ婚約をしてはどうだ?姉さん達は皆、嫁いでしまったし、お前のことが気がかりでな…」


「剣術なんて、そのくらい出来れば十分だぞ?女の子なのだからな。そうだ、近々、夜会があるみたいだが…ちょっと顔を出してみてはどうかな?」

ことあるごとに私にそんな提案を持ちかけてきくる父。

そんな父にうんざりしていた私は、

「お父様…!私は将来の目標もありますし、自分の相手は自分で見つけたいと思ってます」

と、キッパリ言い放ったのが数週間前のこと。

しかし、まさか、この短期間で婚約者を見繕ってくるとは夢にも思っていなかったのだ。