自然とゆるむ頬を手で押さえて、星野くんに返事をする


それから何度かやりとりをした。

途中ダイゴローのお散歩を頼まれて会話は途切れてしまったけど、わたしの胸はいっぱいで満たされていた


最後、会話が途切れる前


わたしが呼び捨てでいいよって送ったら、長沼って言ってくれた。たったそれだけなのに、“さん”がつけられなくなっただけなのに、距離が縮まった気がして嬉しい。


お散歩が終わってリビングのソファに横になりながらスマホを開く。


…そうだ、一応、海にもお礼を言っておこう。
海のおかげで星野くんとお話できたわけだし


海には何にも悩むことなく文章を送れる。

なんとも思ってない相手には、こうやって何送ろうとか考えなくていいのに、星野くん相手だと色々悩んじゃうんだよね


《協力してくれてありがとう!おかげでお話しできたよ!》


手早く送信すると、1分もしないうちに返事が来る


《クレープな!》


短いそれだけの文章に、ふって笑顔が溢れる。



「なにそれ」


ひとり呟いて、にやけた顔を隠すように手のひらで口元を覆った


「橙子〜、ちょっと手伝って〜!」


わたしはスマホを閉じてキッチンで助けを呼ぶお母さんの元へ駆け寄った