交換条件がちょっと高い気もするけど、でも星野くんの連絡先が知れるなら、貯金してたお小遣いにも結構余裕があるし


うん、と、大きく頷いた。


「わかった! それ奢るので教えてください」


両手を合わせてお願い!と言うと、海もスラックスからスマホを取り出すと何かを操作した。

少し時間を置いて、ブブと私のスマホのバイブが鳴った。


「ほら。星野には教えとくってちゃんと許可とったからその辺は安心しとけ」

「え、え!ありがと!」


今日のこと、星野くんに謝りたいと思ってたから海には本当に感謝しかない。

和田くんなんかには、絶対に謝らないけど!


手放しで喜ぶわたしに、ちょっと引き気味の海だったけど、もう一度お礼を言うとわたしの頭を軽く小突いた


「んじゃ、楽しみにしてるわ、クレープ」

「まかせて!特盛いちごなんちゃらでもバナナなんちゃらでもなんでも奢るよ!」


ふはって、ふきだして無邪気に笑った海を見て、思わずドキッと心臓が音を立てた。


…なるほど、女の子が海に落ちるのは、あの笑顔が原因だ、絶対に。

海の表情は基本笑顔だけど、ああやってたまに見せる無邪気な笑顔はやっぱり可愛い。モテるのも頷ける。

いつも、あんな顔してたらいいのに。

…やっぱだめ。海の犠牲になる女の子が増えるだけ


「じゃあな〜、部活頑張れよー」

「うん!ほんとにありがとう! 海も部活頑張って!」


吹奏楽部の私は階段で海に別れを告げると、軽やかな足取りで部活に向かった