「あんたあの和田にすごいことしたね、ちょっとたくましすぎるんじゃない?」

「かっこよかったぞ、橙子。俺お前のそういうとこ、いいと思うよ」


冗談めかして言ってくる二人だけど、わたしはちっとも笑えない。


だって、あの人!あんな言い方はないじゃん!


確かに、あの日無理矢理抜かすようなことしたわたしも少しは悪かったかもしれないけど!

あんなところであんな人数でかたまって話してる方が悪いんだ!!


「マジギレしたトーコなんて初めて見たかも。面白かった」

「俺も初めてだよ、すげぇ面白かった」

「わたしだって人前でこんなに怒ったの初めてだし!全然面白くないから!」


その日からわたしは、和田くんのせいでクラスでもある意味目立つ存在になってしまった

あの和田を圧倒していたとか、長沼橙子は怒るとこわいとかなんとか。
それもこれも、全部和田くんのせいだ。


星野くんは、たくさんたくさん謝ってくれたな。
自分のせいじゃないのに、傷のようすも見てくれて、保健室にも連れていってくれた。

どうして男の子ってみんな、星野くんみたいじゃないんだろう。


あ、どうしよう、星野くんの前であんなことしちゃった……。引かれてたらどうしよう