私に笑いかける花咲音さんの笑顔も、今は心からの笑顔なのかわからない。



どうしてそれを、私が先生以外の人から聞かないといけないの…?



それを、よりによって元カノの花咲音さんから。



…たしか、金木犀の花言葉は「初恋」だと言っていた。



「電話長引いちゃってごめん…!って…なずな…?」



急いで戻ってきた先生は、ずっと俯いたままの私が気になったのか傍に来て体調を伺おうとする。



『金木犀の花言葉には、初恋っていうのもあるんだって。僕たちにピッタリじゃない?』



何が初恋だ。



何が僕たちにピッタリだ。



そんなの、何もかも間違いでしかない。