昔は、『苦手』だったアイツ。
それでも、今みたいにほとんど話をしないなんてことはなくて、なんだかんだ言いながら結構話してたと思う。

今は、本当に喋らない。

高校入学してすぐ、あたしはアイツに気付いたのだけれど、クラスも離れていて接点がなかった。
2年の時も、同じ。
このまま無事に卒業できるかなー…なんて思っていたあたしが神様を恨んだのは、3カ月前。
高校最後のクラス分けで、アイツの名前があることに気付いた時だ。

もっとも、それからもほとんど話した記憶がないし、
アイツはもしかしたらあたしのことなんて覚えていないのかもしれないけど。

モテるのに 彼女一筋な渉とは正反対に、アイツは『超』がつくほどの女たらし。
むかつくほど整った顔に惹かれる女の子は多くて、囲まれてる姿も珍しくない。
それでいて、「おまえらうざい」とか普通に言っちゃうんだから、ほんと最低男だと思う。

…とにかく、あたしが言いたいのは、アイツ―佐藤行成が大キライだということ。

これから卒業まで、できることなら関わらずに過ごしたい。










――そう思っていたあたしが、再び神様を恨んだのは、この数分後。