「馬上槍試合優勝者、ピッツァ・フォン・ライト!」

続けて、国王陛下による馬上槍試合優勝者の表彰式が始まった。

ゼイレーム史上初、女性騎士による優勝。
その快挙はピッツァさんだから相応しいものだ。
さすがに普段大雑把な彼女も、神妙な顔をして国王陛下の御前に立つ。

陛下自らが勲章を彼女の胸に着けた瞬間、わたしの時とは比較にならない大歓声が周囲からわき起こった。
そして、割れんばかりの拍手も。

当たり前だ。
ゼイレームが建国して騎士制度を導入して数百年。今まで女性騎士はわずか十数人しか誕生していない上に、馬上槍試合も準決勝まで。ピッツァさんが成し遂げた偉業は、性別を超えたものなんだ。

わたしも彼女の栄誉を称賛しながら、胸の内に湧き上がる思いを抑えきれない。

「ミリィ、次は自分がそこに立ちたいって顔をしているな」

すぐ隣にいたアスター王子が、ズバリわたしの心情を言い表してくる。

「やっぱりわかっちゃいますよね」

自分でも、苦笑いしてしまう。従騎士の中で一番になったというのに、物足りない。次はあの場に自分が立ちたい……騎士の中でナンバーワンを目指したい、と。ついつい欲張ってしまう。

「いや、だからこそミリィだな。常に上を目指し努力する……わが自慢の婚約者だ」

そう告げたアスター王子がそっとわたしの手を取り、大きな手でこちらの手を包み込んだ。