お互いの馬が接近する。わたしは頭の中でカウントダウンを始めた。


(3、2……1、今だ!)

右上に構えたランスを、左腕に着けた盾の前に素早く突き出す。
すると、フランクスのランスの穂先が届く前にわたしのランスにぶつかった。彼がランスを繰り出したスピードは、今までにない速さ。おそらく防げたのは、1秒にも満たない時間差でわたしが先に動けたから。

それでもやはりフランクスは諦めないようで。ぶつかったランスがそのまま左上に動く。おそらく、狙いは兜の顎下にある突起だ。

(させるか!)


逆に、わたしはランスを繰り出した。


(攻撃中は、そちらががら空きだ…っと…!)


馬上槍試合ですれ違いざまに攻防できる時間は、わずか数秒。わたしとフランクスの攻撃はお互い空振りに終わり、次はわたしが先行ターン。

アクアを引き返させるついでに、深呼吸をして呼吸を整える。ドクンドクンと、鼓動がいつになく速い。高揚しているのが、自分自身でもよくわかる。

次で、フランクスとの決着が着く。そんな強い予感があった。

……ならば、躊躇うことはない。


「アクア、次で終わりだ。全力で行こう!あなたの俊足を皆に見せるんだ」
「ブヒッ!!」

力強く嘶いたパートナーの背に跨りながら、スピードアップしていく。