「これを勝てば優勝だ!アクア、行くよ!」
「ビヒッ!!」

頼もしいパートナーであるアクアも、力強い嘶きとともに駆け出した。
今回の狙いは短期決戦だ。なるべくワンターンで決めたい。

(模擬戦では、フランクスは今まで盾狙いが多かった…次がランス。今回は……)

フランクスが勝ちにいく際は大抵落馬狙い。やや強引にでも、盾を狙う事が多い。とはいえ、さすがに今回は模擬戦と作戦を変えてくるだろう。

……とは思ったものの。

(えっ!?)

フランクスのランスの構えが、いつもと全く同じ。つまりは……わたしの盾を狙うぞ、と宣言したようなものだ。

(フランクス……いくらなんでも、馬鹿正直すぎるでしょ!)

たぶんあれは、彼なりの正々堂々と勝負する気持ちの表れ。姑息な手段や卑怯な作戦なんか使わず、いつも通りの自分で勝ちに来る……ということだろう。

「なら……わたしも、正々堂々といつもの自分で勝負をするよ、フランクス!」

盾狙いならば、簡単だ。ランスで防御しつつ、こちらが反撃する。

(フランクスはおそらくパワーで押してくる。ならば、わたしはそれを上回るスピードで対応すればいい)

フランクスにも褒められた、わたしのスピード。2人で訓練しあった長い時間の中で、フランクスの筋力とわたしの素早さはお互い認めあった長所だった。