次は、あちらのターン。

トムソンの攻撃パターンで言えば、ランスを狙うだろうけど…。

こちらが馬をスピードアップさせたことで、攻撃に移る時間が若干短くなった。直情型のフランクスと違い、トムソンは冷静沈着。焦りは表に出さない。

(ランスだけではなく、全体の動きをよく見るんだ)

すれ違うまで、あと数秒。

ランスチャージ(突撃)の動作が垣間見える。
でも、おそらくそれは……。

わたしはわざと、ランスを右斜め下へ構える。
すると、トムソンもそれに対応してきた。ランスを前方へ構えている。

そしてすれ違う瞬間、トムソンのランスは速いスピードで盾を突く…と見えて、ランスの穂先を狙ってきた。

(やはり、ランスチャージの予備動作はブラフだ!)

予備動作で誘い、こちらを油断させるつもりだったろうけど。あいにくこちらは作戦を読んでいた。ランス同士をかち合わせ、やり過ごす。
アクアの横腹を蹴り、さらにダッシュをかけてすれ違う。
ターンしてからさらにスピードを上げていった。

(アクアの脚についてこられるか?)

トムソンも馬をスピードアップさせたけど、やはり若干慌てたのが見える。このまま、次はわたしの攻撃ターンだ。

わたしの作戦はシンプルイズベスト。正々堂々とランスチャージでの勝負。

(来た…!)

すれ違う1秒前、ランスチャージを繰り出す。トムソンもそれに対応しようと、防御するけれども…。

わたしのランスの穂先が届く時間の方が速かった。

トムソンのランスが折れる手応えがあり、そのまますれ違う。

審判によりエストアール家の紋章旗が掲げられ、わたしは3勝目を挙げた。