いつも通りにアホなやり取りをしていると、ファニイ陛下はクスリと。メイフュ殿下は苦笑いをされた。

「……野営ではその土地で現地調達が原則ですものね」
 
やっぱりファニイ陛下は傭兵を経験されただけあり、わたしの主張(?)を理解いただけたようだ。どうして王位継承者が傭兵を…なんて疑問もあるけれど…さすがに親しくない仲でそこまで踏み込むのは失礼だろう。

「ありがとうございます、陛下」
「いえ。ミリュエール嬢はずいぶん野営の経験豊富なのね」
「あ、はい。エストアール家は代々騎士を輩出する家系なので、自然と身に着けました。初めての単独野営は確か3つのころですね」

ファニイ陛下の疑問にあっさり答えると、皆から少し驚かれたようだ。え、そんなに驚くべき事かな?

「エストアール家では6つまでに、兵士や騎士の学ぶべきことをひと通り学びますよ。見習いとして騎士の小姓となる前に。まぁ…わたしは女だったので渋られましたが…希望して強引に学びました」

エストアール家の伝統であるから、わたしはなんの疑問も持たなかったけど。やはり、アスター王子でさえ意外だったようだ。

「……そんなに幼い頃からか。筋金入りだな」
「はい。騎士を目指すならば当たり前ではないですか?年齢は関係ありません。甘ったれていては、いざという時に対処できませんから」

なぜかアスター王子にため息をつかれたけど。ファニイ陛下がフォローしてくださった。

「それは、素晴らしい向上心ですね。そんな方と手合わせできるならば光栄ですわ」

暗に、わたしの剣術を見てくださるとおっしゃってくださる。わたしの目が輝いたところで、和やかに婚約式は終わった。