「失礼、レディ。次のパートナーという栄誉をいただいてよろしいでしょうか?」

何度目かパートナーが変わった時、ずいぶん若い男性がそうおっしゃられた。年齢はアスター王子とそう変わらないくらいで、見事なプラチナブロンドにグリーンブルーの瞳。なにより、アスター王子に負けないくらい整った顔立ちに白い肌。

これほど恵まれた容姿。誰?なんて訊かずとも一目瞭然。

隣国ノイ王国のメイフュ王太子殿下だろう。

最近わたしもお妃教育以外でも、自分なりに勉強している。
王妃になるならば、と不得手だった分野でも憶えるように。
経済的に豊かなノイ王国は隣国の中でも関係が良好。いずれ軍事同盟を…とアスター王子は考えているようだ。

「はい、わたしでよろしければ」

そっと手差し出された手に触れた瞬間、アスター王子に負けないくらい硬い手と剣だこに驚いた。相当剣の修練をしなければ、こうはならない。

流れるようにステップを踏み始めると、その巧みなリードにも感心する。動きは機敏なのに優雅で、お喋りする余裕すらある。

「素晴らしい動きです。ずいぶん努力されてらっしゃるようですね」
「今は、アスター殿下の従騎士でもありますので」

メイフュ王太子殿下からその話題を出されたなら、乗らないわけにはいかない。王族には珍しくこれほどの手になるほど修練を積んだ剣士だ。有意義なお話しが聞けるだろうとわくわくする。