「婚約式にはキルシェだけじゃなくいろんな国の王や皇帝も来るからな。しっかり準備してバッチリ見せてやれ」

高祖母様からとんでもない話を聞かされた。ノプットの現女王陛下がお越しになるだけじゃない。わたしには全く縁がなかった国々のトップの方がいらっしゃるとか。

確かに、アルベルト殿下とソフィア様のご婚姻には出席されていらしたけれども…。

「えーっと……ノプットのキルシェ女王、フィアーナのファニイ女王、ノイのメイフュ国王、それからウゴスタダ公国のオレチナ皇帝、プスムラム共和国のミイナ首相、スカイレースのマリナ大統領…あと色々いるが、いやー懐かしい顔ぶれだなあ。特にミイナと会うのは何年ぶりだ?」

高祖母様は指折り数えながら、各国首脳の名前をスラスラと挙げてらっしゃいますが…。

「あのー…アリス高祖母様……ちょっとお訊きしてもいいでしょうか?」

ドレスを着用する手前で、片手を挙げて高祖母様へ質問。嫌な予感がしまくりましたからね。

「ん、なんだ?」

高祖母様はいつもと変わらないのんびりとした雰囲気でいらっしゃいますが…

「まさか…ですけど。各国のトップとお知り合い…なのですか?」

わたしが恐る恐るぶつけた質問に、高祖母様は満面の笑顔で「モチのロンさ!」とお答えされましたよ…。

「今回の結婚式に来た100カ国のトップの奴らとはひと通りな。だから、なんか困ったことがあったらアタシに言えよ」

腰に手を当ててふんぞり返る高祖母様……あなたは一体何者なんでしょう……。