ちなみに、ボール公爵家子息のバーガも無論無罪放免というわけにはいかない。父親であるドレズデン公が自ら息子を断罪し、公爵家から追放。逮捕されたバーガは極刑は免れたものの、罪人として終身刑を言い渡された。

そして、驚いたことにドレズデン公は引退を表明。公爵家の称号身分領地すべて返上する…とまでおっしゃた。
息子のしでかした罪の大きさに、人のいい彼は耐えきれなかったのだろうな。

さすがに国王陛下もアスター王子もそれを止められた。
けれども、ドレズデン公の決意は固かった。後継者もいないゆえに、取り潰しも致し方ない…と。

そこで、アスター王子が驚くべき一手を繰り出した。

今回の襲撃事件で活躍した従騎士のフランクスをドレズデン公の養子にし、マリア王女ともどもボール公爵家を継ぐ…という提案だ。

確かに、フランクスは伯爵家の養子だ。ただ、もともと後継者のいないルド伯爵家を継ぐためだったはず…。

けど、アスター王子はとんでもないことを仰った。

「大貴族ならば複数の爵位を持つのは珍しくない。ひとまず公爵家を継ぎ、生まれた子どもたちにそれぞれ爵位を継がせればいい」

アスター王子の提案を聞いたマリア王女は、「なら、わらわは頑張って子だくさんになるぞ!のう、フランクス。わらわに任せておくがよい。少なくとも6人は生むつもりじゃ」

……なんて、マリア王女がノリノリで。彼女が主体となり、話を進めた結果。フランクスが公爵家の後継ぎになることが決まったんだ。本人は不本意そうだったけどね。
でも、ドレズデン公と対面すると、2人は意気投合。本当のおじいちゃんと孫みたいに、仲が良くなったんだ。