「お、来たな!」


婚約式に臨むため一度王宮に戻ると、待ってました!と言わんばかりに侍女やら女官が待っていました。しかも、ソニア妃やお母様や高祖母様にアリシアお祖母さまに叔母様方までもが待機されていて……見た瞬間、猛ダッシュで逃げ出したくなった。

「あのーお母様、なぜにこんな大勢の方がいらっしゃるのでしょうか?」

ドアを背中にジリジリと逃げ腰になっていると、お母様がクスリと笑われた。

「仕方ないわ。みんなミリィが心配なのよ……かわいい姪、かわいい孫の晴れ舞台ですものね」

すると、アリシアお祖母さまもにっこり笑ってこうおっしゃる。

「そうそう。わたしの自慢の孫なんだから……孫の中では一番わたしに似てる。王子様のハートを射止めたとこなんてそっくり」
「……え、王子様?ヴァイスお祖父様が!??」

今の今まで聞いた事がない話しだ。たしかにアリシアお祖母さまの夫でわたしのお祖父様のヴァイスお祖父様は気品があり、とてつもない美形。公爵家でお城に住んでいらしたから、それなりに高い身分とは思っていたけれども。

「そうよ。お祖父様は前の女王陛下の第2王子でいらしたの。現女王キルシェ陛下は姪で養女。臣籍降下されたからあえて公表されていらっしゃらないけれども……」

お母様がそうお話しくださって、驚愕の事実に驚いたなんてものじゃない。

「じゃあ……お母様はノプットの女王陛下の従妹で王家の血を引く公爵令嬢なんですね」
「それはミリィ、おまえにも言えるぞ?現女王の姪なんだからな」 

アリス高祖母様にさらっと言われたけれども…とんでもない話だった。