今の今まで、レスター王子がピアスなんてしたのを見たことがない。
自分大好きで飾りたてるのを趣味にしているような人だけど、自分自身を傷つけてまで(痛いのが嫌だろう)はしなかったはず。

となると…呪物はあの真っ赤なピアスでほぼ間違いない、実際、ブラックドラゴンの短剣を通じて禍々しい気配を感じる。

(アレを破壊…もしくは外させねば!でも、どうやって?)

ブラックドラゴンの時はわたし1人では到底どうにもならなかった。強力な呪物の解呪など、本来同等以上の魔力を持つ魔術師か呪術師でないと不可能。

ひとまず、無駄かもしれないけどレスター王子の説得を試みる。

「レスター王子、耳にあるピアスを外せませんか?」
「なんだい、愛しいハニー。ボクの身につけたものに焼きもちかい?かわいいね。そんな遠回しに言わなくても、ボクはいつだって君を受け入れるよ!」

うぎゃああああ!
なんか、勘違いしたアホな王子が、両手を広げてこちらへ突進してきたんですが!!

(やっぱり駄目だ……言葉が通じない……わかっていましたけどね!)

でも、アホ王子は今のところナルシスト自己愛のおかげで支配されていない。これは利用した奴らも計算外だったろう。これほどの鋼より強いナルシスト精神だなんて。

正直に言えば、ざまあみろでございます。