ブラックドラゴンから、呆れたような声が聞こえてきた。

『そなたの高祖母だかが、我らの同胞に乗り高笑いで生き生きと活躍しているそうだな』
「あー…それ、想像できるわ」

アリス高祖母様……龍騎士だけあり実力は折り紙付きだけど、必要以上に楽しんでいそうだ。

ブラックドラゴンが言う通りに、アリス高祖母様をはじめとしたノプット王国の竜騎士達が国境及び王宮上空を護っている。

いつの間にかゼイレームにやって来た伯母様たちは、相変わらず自由奔放でめったに姿を見せなかったけど。空の上からドラゴンに乗って挨拶だけされたのには驚いた。
やっぱりそのフリーダムな性格は、高祖母様からの遺伝らしい。

(よかった……王宮と国境は大丈夫だ。後は呪術師と呪いの中心になっているレスター王子をどうにかしなくては)

チラッとレスター王子を見ると、こんな異常事態にもかかわらず両手に腰を当て仁王立ちしている。キラキラと輝きながら。

わたしが首にかけたメダリオンの防御魔術が効いているんだろう。呪いの人形は近づけないようだ。

「ふふふ……そんなにボクが美しいからって熱心に見つめられては照れるな……」
「いや、呆れてるだけですが?」

相も変わらぬアホっぷりを発揮するレスター王子。おそらく、呪物を手にしているだけで精神を乗っ取られ操られるんだろうけど。鋼より強いレスター王子のナルシスト…自己愛がそれをはねのけているんだ。

どれだけ自分がかわいいんだろう……。

いや、支配されていない方がこちらは助かりますがね。