瘴気のドラゴンがもとのシードラゴンに戻れたのはよかった。まさか、協力までしてくれたのは意外だったけれども、渡りに船。地下水脈の危険性はもともと指摘されていたし、幻獣の協力があればより万全を期せる。

そして、アスター王子からさらに報告を聞いた。

「ピッツァから聞いたが、ワイバーン騎士団の総力を挙げてドン・コレッツイの重要拠点の1つを潰したそうだ。王都に繋がる場所だったらしい」
「そうですか…それはよかったです。これでご婚姻の儀の安全はより万全になりましたね」

ピッツァさんはずっとドン・コレッツイを捕まえたいと願っていた。今回ドン・コレッツイはもともと居なかったらしいけれども、組織内でもかなりの大物を捕縛できたとか。

「組織のNo.3。ドン・コレッツイの側近であるワイルドだ。どうやら魔術師でもあり、コレッツイの逃亡の手助けをしてきたやつのようだ。お祖母様の協力で追い詰めることができた」
「あ、ピッツァさんから聞きました。ドン・コレッツイは今まで誰も姿を見てきたことがない。姿を見たら死ぬとか。やっぱり魔術師が関わっていたんですね」

アスター王子の話はピッツァさんから聞いた内容と一致する。
散々悪事を働いてきたのに、今まで誰もドン・コレッツイの姿を知らないのは、あまりにも不自然だ。
やっぱり、魔術師が関わっていた。魔術を悪い方へ利用していたんだろう。

「ああ、だが問題が1つある……レスター兄上の行方だ」

アスター王子から、意外な言葉が出た。