初めて、アスター王子からわたしへの気持ちを告白された。
この1年、仄めかしは何度かあっても、決して口にして来なかったのに。婚約した時ですら、曖昧な態度だった。
わたしは自分自身がアスター王子への気持ちに気付いた時から、なるべく好きだ、と伝えてきた。
すべてに幼いわたしがそれが恋だと知ったのは、つい最近の事だけど。
普通ならば、告白すらない時点で信用できないだろうな。
でも、わたしはずっと感じていた。アスター王子の暖かい眼差しや、言葉や、態度の端々に。
彼は、いつだってわたしを大切に扱い、想いを伝え続けてくれていた。不器用な彼なりに。
きっと、女性に慣れた男性ならば、もっと簡単に、ストレートに愛を囁やけるんだろう。
でも、わたしは……。
これで、いい。
めったにもらえないひと言だから、その重みは……とてつもない価値があって。より胸を揺さぶり心に染みわたる。
きっと、お母様もお父様と似たような御夫婦だと思う。エストアール家の騎士は恋愛面で不器用で、初恋も遅い。アスター王子も見事その伝統(?)に従ってくださったわけだ。
じわじわと、暖かいものが全身に広がっていく。
なんだろう。
目の奥が熱くなり、じわりと視界が白く滲んだ。
嬉しい……と、素直に思えたんだ。