アスター王子の言わんとしたことが、なんとなく解った気がする。
いつも理想的な騎士であろうとしてしまうわたしに、思い詰めるな……と話しているんだろう。

騎士を目指すと決めた以上、騎士としてこうありたい……と願い、それへ向けて努力するのがわたしのスタイル。けれども、それを追求し過ぎで頭でっかちになっていないか?

完璧を目指すのは悪くないが、もっと肩の力を抜け、と。アスター王子は言いたいに違いない。

「……そうですね。救国の英雄であるはずのあなたが変態なのはまだまだ知られてませんし」
「……おい、誰が変態だ!?」

わたしが真実を述べているのに、誰かさんは不満そうですけれど。

「よかったですね。趣味の早朝全裸ランニングの最中、警備兵や騎士に見つからなくて。捕まってたら公開処刑状態でしたよ。将来の王太子殿下が、まさか全裸で走るのが趣味なんて…とゼイレームの威信もガタ落ちですから」
「全裸ランニングとか、変な趣味を作るな!そもそも走り込む時はオレも服ぐらい着る!」
「そうですか?その割にまだまだ眠る時は素っ裸みたいですが。わたしが注意して服を着せてるのに、起きたら素っ裸ってどういう事でしょう?もう、魔力の暴走とかの言い訳はできませせんからね?」


わたしが半目で睨みつけると、アスター王子の視線が落ち着きなく彷徨う。絶対……理由を知られたらまずい反応じゃないでしょうか。

アスター王子が以前全裸だったのは、魔力の制御がうまくいかなくて発熱してたから。今は完全にコントロールしているのだから、同じ理由は通用しませんよ?